「どちらからいらっしゃいましたか?」ちょっと標準語じゃあよそよそしいかな。
屏風岳で雷雨に合い、この先進むのをあきらめて、引き返すことにした。雷を避け窪地や木陰に避難しているパーティに次々に声を掛けた。この雷雨の中、遮るものの無い芝草平を走り抜けるのは如何にも無謀だ。しばらく雨宿りしなければならないが、そうすると白石行きの最終バスに間に合わない。なんとか、同じ方面に帰る登山者を探し、車に便乗させてもらいたいものだ。
最初の若夫婦は「山形だあ」....山形には用は無い。はいさようなら。
次の老夫婦は「宮城だあ」、「宮城は何処?」、「白石だあ」....やったラッキー。
一変してもみ手しながらお願いし、白石駅まで送って頂くことになり一安心。30分ほどゴロゴロピカピカが過ぎるのを待った。このご夫婦は刈田峠から不忘岳までピストンされたらしい。手前の鞍部にはハクサンイチゲやシラネアオイも咲いていたとおっしゃる。予定ではその不忘岳を硯石に縦走する予定だったが、来年リベンジだ。
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山行記録 |
2005.6.20
白石8:50+++10:30蔵王山頂11:00−11:20刈田峠11:25−11:35刈田峠避難小屋11:40−12:05前山−12:30杉ヶ峰−12:40芝草平12:50−13:25屏風岳13:55−14:40刈田峠駐車場 |
お釜 |
刈田嶺神社 |
白石をバスで発った時には霧雨が降っていた。こりゃあ今日の天気はダメかなと思ったが、エコーラインを走るうちに青空が広がってきた。どうやら雨雲の層を突き抜けたらしい。
山頂駐車場から100mも歩けばお釜の見える展望台だ。月曜と言うのに大型バスが次々とやってくるまさに観光地だ。登山者スタイルは場違いの感がする。 |
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刈田岳避難小屋 |
避難小屋内部 |
刈田岳嶺神社から大黒天側に一段下ると石造りの避難小屋があった。老朽化しているが、二重扉で冬でも頼りになりそうだ。前日にここまで入り、翌日早朝から行動開始すれば余裕のある計画が立てられるだろう。 |
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山頂駐車場から国境稜線 |
さて駐車場に戻り縦走の開始だ。まずは刈田峠を目指そう。大きなジグザグを切るバス道路を、登山道が串刺しにするように峠まで一直線に下って行く。この間のルートはあまり歩かれていないらしく浮石だらけで気が抜けない。両側にはツマトリソウやマイヅルソウなど林床の花が咲いていた。 |
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エコーラインを横切ると南蔵王縦走路口を示す道標がある。ここから一段下がると小沢を横切る。この先に避難小屋に泊まるときにはこの沢で補水出来る。しばらく緩やかな下りが続く。途中現れる小湿原では丁度チングルマが花盛りだった。 |
刈田峠 |
小湿原 |
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刈田峠避難小屋 |
避難小屋内部 |
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草原を抜け、アオモリトドマツの樹林帯に入ると、脇道がありその奥に刈田峠避難小屋がある。外見は頼りないが十人くらい宿泊可能でトイレもある。 |
登山道は緩やかに前山、杉ヶ峰と高度を上げてゆく。既に森林限界を越え、あたりの木々は人の背丈ほども無い。展望の良い稜線漫歩が始まるが、今日は残念ながら遠望は利かない。ミツバオウレンやミヤマハンショウヅル等が登山道を飾っている。 |
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杉ヶ峰から前方屏風岳 |
杉ヶ峰から後方刈田岳 |
杉ヶ峰山頂はぐるり360度の展望台だ。ちょっとした広場になっていて、たいていの登山者が一休みする。芝草へは僅かに下るだけだ。 |
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芝草平には素晴らしいお花畑が広がっていた。湿原そのもの規模は小さいが、花の密度が濃く、チングルマやユキワリコザクラの白い花が今を盛りと咲き乱れていた。確かに高山植物の穴場だ。
惜しむらくは湿原の保全整備が遅れていること。木道はちょっとしか無く、登山道外立ち入り規制のロープが張ってあるだけ。腰をおろす場所が無いのも気掛かりだ。自然観察員の腕章を付けたオジサンが、登山道脇のチングルマの上に腰を下ろして休んでいたのには唖然とした。 |
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屏風岳山頂 |
芝草平を後に、沢状のえぐれた道を屏風岳へ向う。このころから空模様が怪しくなってきた。北のほうから時折聞こえていた雷鳴が近づいたかと思うと突然の土砂降りになった。慌てて雨具を着けながら、行くか?返すか?さあてどうする。ここ屏風岳は縦走路の中間点だ。ここでしばらく雨宿りしても時間的には硯石まで歩き通す自信はあったが、この先を歩いている人は居ないだろう。戻って途中すれ違った人と合流した方が無難と引き返すことにした。 |
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雨はともかく、雷だけはどうしようもない。運良く白石からこられた老夫妻と合流し一緒にゴロゴロピカピカの雷雲が過ぎるのを待った。ご夫妻にはその後白石駅まで車で送って頂いた。感謝感謝。
聞くと刈田峠からハクサンイチゲの咲く不忘岳までピストンされたそうだ....来年またリベンジだ。 |
雨上がりの芝草平 |
一台だけ残っていた駐車場 |
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