奥秩父 笠取山〜飛竜山
2006.5.3〜4

今年のGWはテントを担いで、奥秩父の笠取山から飛竜山まで縦走した。目立ったピークの無い地味なコースだが、西御殿岩はうわさにたがわず最高の展望台、時期を変えて再訪したいものだ。長い林道歩きの途中、後山林道で車に拾ってくれた弘前の熟年二人組に感謝します。
06.5.3 新地平−雁峠−笠取山−将監小屋
06.5.4 唐松尾山ピストン−将監小屋−飛竜山−三条の湯−後山林道

山野草




1日目(2006.5.3)
塩山9:05===10:00新地平10:15−12:00林道終点12:05−12:40雁峠12:50−13:05笠取小屋分岐−13:15西笠取−13:30笠取山13:40−13:55水干−14:15水平道−16:20山の神土16:25−16:40将監峠−16:45将監小屋

西沢渓谷行きの始発バスを狙って塩山駅に降り立った。2月に訪れた時には閑散としていたのに、GWとあって登山客が長蛇の列を作っていた。臨時バスが増発されたが、それでも大勢の客が座れなかった。
ほとんどのガイドブックでは、今日向かう将監峠は三ノ瀬から登るコースが紹介されている。わざわざ新地平から登る登山者はいないだろうと思っていたが、意外にも数人の登山者が降りた。殆どがテントの入ったデカザックを背負う単独行のオジサン連中、皆さんご同類だ。
歩き始めたのが10時過ぎとあって、日中に日影の無い約二時間の林道歩きで早くも汗だくになってしまった。
新地平 亀田林業林道

峠の手前30分あたりで林道は次第に狭くなり薮の中に消えてゆく。右に折れ、小沢を渡ったところから登山道が延びている。出だしにある「熊生息地」の看板に少々ビビルが、そんな様子の無い明るい沢筋の道だ。いつしか木々が疎らになり、前方に青空が広がる。ようやく雁峠だ。背後には南アルプス、前方には笠取山。いつまでも休んで眺めていたいが、今日はこれからが本番だ。伸びやかな草原に延びる縦走路を将監峠を目指して出発する。
雁峠直下 雁峠から笠取山

付近は作業道路や防火帯が入り乱れ判りづらい。取り付きから笠取山を目指すが、スキー場を思わせる防火帯の急な登りだ。13時を廻り降りてくるハイカーの方が多い。笠取小屋からピストン組なのだろう。皆さん、小ぶりのザックを背負っている。
山頂は絶好の展望台だった。肉眼では見えていた富士山や南アルプスも、写真では午後の日差しで薄ぼんやりしか見えないのが残念だ。富士山の脇に一際目立つピラミッド型の山が聳えていた。地図で調べると大菩薩のようだ。いつも甲府側からなだらかな山容を眺めていたが、方向を変えると違った山に見えるのが面白い。
笠取山頂
山頂から大菩薩
右手に富士山

山頂から金峰山
左に白根三山

せっかくだからと、多摩川の源流である水干を通過するルートを採った。地図には社の記号が示されているが道標が一本立っているだけだった。これだったらさっさと巻き道を歩いた方がましだった。
巻き道は水源巡視路なのだろう。尾根や谷が現れるたびに大きく迂回するがほぼ忠実に標高1800mをなぞっている。途中、何箇所か沢を横切るので水場には不自由しない。地図に注意書きのある崩壊地は修復され、新しい堰堤の上を通過できた。
水干 崩壊地

山の神土で唐松尾山や和名倉山の道を合わせ、しばらく行くと将監峠だ。峠からは和名倉山へ続く稜線が見える。小屋はここから防火帯を下り3分。先着している色とりどりのテントが見える。水場は水量十分、下地はふかふかの草原だ。ただ臭いトイレには閉口した。
将監峠 将監小屋へ
2日目(2006.5.4)
将監小屋5:30−5:55山の神土6:00−6:20分岐−6:35西御殿岩7:15−7:30分岐−7:50唐松尾山−8:40将監小屋
将監小屋9:35−9:55水平道−11:25大ダル−12:05飛竜権現12:45−13:25北天のタル13:40−15:25三条の湯15:35−16:00駐車場16:05−16:55車

牛王院平から飛竜方面 その夜は満天の星が素晴らしかったが、放射冷却なのだろう、早朝は相当冷え込んだとみえて、テントは霜でバリバリに凍っていた。さて肝心の天候は?とテントのファスナーを開けると、周囲にはガスが掛かっており視界はかんばしくない。これじゃあとシュラフに包まり、出発を延ばしていたが周りのテントは次々と出発してゆく。重い腰を上げ、サブザックを背負って将監峠まで登ると、なんと上空には青空が広がり、テント場は雲海の下に沈んでいた。もっと早く行動するんだったと思っても後の祭り。

和名倉山ピストンの考えもあったが、山の神土から伸びる道は頼りない道だった。予定通り西御殿岩・唐松尾山のピストンに向かう。稜線沿いの道を辿ること20分ほどでブリキの道標が現れた。ここから踏み後を頼りに15分ほどで岩峰によじ登ると西御殿岩だ。誰もいないピークでしばしコーヒータイム。360度の展望は期待にたがわず素晴らしいものだったが、肝心の富士山や南アルプスは霞が掛かっていた。季節を変えて再訪したいものだ。

西御殿岩の標識と和名倉山 飛竜山・雲取山 大菩薩・うっすらと富士山
うっすらと南アルプス 唐松尾山と金峰山 両神山



唐松尾山
分岐に戻り隣の唐松尾山まで足を延ばすことにした。唐松尾山は2109mと今回の山行で一番高いピークだが、その割には木々に囲まれ展望の無い地味な山頂だった。お手製のブリキの道標が無かったら、何処が山頂か気付かなかっただろう。写真を一枚撮ると早々に退散した。
将監小屋
閑散としたテン場に戻った。小屋番さん達は朝の仕事を終え、キャッチボールに興じていた。いくつか残っているテントは和名倉山ピストン組だろう。
さて、これから飛竜を越えて三条湯へ降りるとしよう。既に9時近く、のんびりしてはいられない。

飛竜直下
テント場から一登りで水源巡視道に合流する。昨日同様、標高1800mをなぞる水平道だ。木々の隙間から富士山や南アルプスが見え隠れするが、湧き出る雲と判別が付かなくなった。コースは大ダルミあたりから日影に雪が残っている樹林帯の中を登りに転じる。次第にバイカオウレンの白い花が目立つようになる。岩場にはイワカガミの葉も姿を見せるが、花の時期はもうしばらく後のようだ。
登りつめると「禿岩」の表示が現れ、其の名の通り小さな岩峰がある。ここが飛流権現だと思ってザックを降ろしたが、飛竜への登山道が見当たらないし、どうも様子がおかしい。ともかくシャリバテでへろへろになった体に食事を摂り一休み。後で調べると絶好の展望地だそうだが、ぼんやりとした視界で遠望は利かなかった。
飛竜権現は100m先にあった。飛竜山頂や丹波に向かう道が分岐している。小さな社のある広場には先着パーティがたむろして大賑わいだった。私もここにザックをデポし、山頂をピストンした。途中にあるシャクナゲのトンネルはその花を付ける時期には圧巻だろう。山頂南面に切り開きあるが今日は何も見えなかった。

飛竜権現 飛竜山頂

北天ノタル
飛竜権現から桟道の続く巻道を北天ノタルにたどり着いた。ここで北斜面に大量のゴミの残骸を見た。急斜面で回収が難しいのか?県境を越えたところで手が出せないのか?相当昔から放置されているようだった。
あわよくば雲取を越えて奥多摩小屋のテン場という淡い期待から思案していると、向こうから単独行氏がやってきてコース情報を交換した。彼はここから将監小屋に向かうと言う。まだ先は長いが、飛竜権現まで行けばあとは下り道だから問題ないだろう。雲取方面は狼平までが、意外とアップダウンがありきついとおっしゃる。素直にここから下山と決定。

下り道をずんずん飛ばして降りてきたが、標高が下がるにつれこれまでのルートでは見られなかったネコノメソウやスミレ等の山野草がぞろぞろ現れた。おかげで写真を撮るのに忙しく、大幅にペースダウンする。
そんななか15時を過ぎようという時刻にもかかわらず、飛竜を目指して登ってくる単独行の登山者が3人もいたのには驚いたが、その理由は直ぐに判った。やっとこさ三条の湯にたどり着き、テントを張ろうとすると、テン場は色とりどりのテントで埋まっていた。スペース的には無理して張れないことも無かったが、あちこちで高校生や大学生の嬌声が湧き上がっており、単独行のオヤジが割り込むのは気が進まない。皆さん同じ気持ちだったのだろう。
こんなところで張るくらいなら、無理してでも家に帰ろう。里心が付いた。小屋でもらったバス時刻表を調べると、まだ最終バスに間に合う時刻だ。

三条の湯 テント場
林道終点
小屋から登山道を歩くこと30分で後山林道終点にでる。あたりは路駐の車が列を作っていた。最終バスに間に合うと言うものの、最寄のバス停はここから徒歩2時間強とまだまだ長丁場だ。えっちらおっちら歩き始めたが、途中で運良く車に拾ってもらい大助かり。弘前から遠征してこられた熟年2人組で、甲武信ヶ岳など何箇所か登って帰られるそうだ。感謝、感謝。


山野草




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