白根三山
2006.8.5−6

北岳山荘テント場から間ノ岳方面 「いやあ〜すんごい道でしたね。」奈良田でバスを待つ登山者の挨拶言葉だ。白根三山縦走と言えば南アルプスを代表するメインコースのはずだが、大門沢下降点から一気に2000mの下りは、お世辞にも良く整備されたとは言い難いルートだった。特に大門沢小屋を過ぎたら楽勝と思ったら桟道あり吊橋ありとまさにアドベンチャー。一度通ったら次回はノー・サンキュウーとしたいものだ。
2006.08.05
広河原645−御池分岐705−900二俣915−1030最終水場1040−八本歯コル1135−1200分岐1215−1305北岳1320−1345分岐1350−稜線合流1415−1445北岳山荘テント場
2006.08.06
北岳山荘テント場530−610中白根615−720間ノ岳740−820農鳥小屋830−930西農鳥940−1015農鳥岳1020−1100大門沢下降点1105−1155ベンチ1205−1300大門沢小屋1310−1420大コモリ沢1430−1440第一吊橋−1500堰堤工事−1550奈良田バス停

高山植物




広河原から北岳
今シーズン、初めて夏山らしい天候に恵まれる予感の金曜に年休を取り3連休を仕立て上げた。主張先の甲府から目指すは白根三山だ。
始発バスに乗り広河原に着いたのは6:30。北岳山頂が挑発するようにはっきりくっきり見えていた。
二俣から大樺沢
写真で見ると凄い雪渓のようだが雪道を歩いたのは二俣から夏道に取り付く20mだけ。アイゼンの出番は無かった。このコースは上部まで水が採れるポイントがあるのがうれしい。
北岳バットレス
コースはやがて沢筋を外れ、階段や桟道を辿って八本歯コルにぐんぐん高度を上げてゆく。
八本歯コルから一頑張り
八本歯コルで稜線に這い上がったが、雲が湧き上がって間ノ岳方面はカケラも見えない。岩稜の続く道は休むところも無いので、巻き道分岐まで行こうと頑張る。このあたりが一番きついところだ。

北岳山頂
分岐にザックを投げ捨てて空身で山頂を往復する。シコタンソウやチシマギキョウが現れなかなか前に進まない。そのためか、山頂に着いたときにはせっかくの360度の展望が雲に遮られていた。

北岳山頂 山頂から甲斐駒ヶ岳 分岐から鳳凰三山

北岳山荘へ巻き道
霧が発生しやすい為か、巻き道周辺は少々植生が異なっている。キンロバイやトリカブトなど他には無いお花畑が広がっている。しかし、油断してはいけない。岩場を回り込むスリリングな桟道が2箇所ほどある。
北岳山荘
同時に20人ほど使用できる巨大なトイレ棟がある。個室に入るとドアの開閉を検知して蛍光灯が点く。もちろん温便座だ。臭いがきついのが玉に瑕。



日が沈むとともに寝入ったが、そんなに長い時間眠れない。ふと目が覚めたテントの中で、一人星を眺めながらコーヒータイムを楽しんだ後、しっかり二度寝をしてしまい、予定より1時間ほど寝坊してしまった。昨日前後した高校生パーティは既にもぬけの殻だ。それにしても良い天気だ。気合充分に、昨日より少しだけ軽くなったザックを肩に出発したが
山荘前から中白根 中白根から間ノ岳
次々と後続パーティに抜かれる。そんなはずはと良く見ると、小ぶりなサブザックを背負っている。全く空身の方もいらっしゃる。皆さん、北岳山荘にザックを置いて間ノ岳までピストンされるようだ。なかには農鳥岳まで足を延ばすツワモノもいた。

間ノ岳から北岳 間ノ岳から農鳥、塩見岳
間ノ岳の山頂は広く且つ二重稜線のような複雑な地形をしている。窪地には遅くまで雪が残っていると見えて、チングルマがまだ花をつけていた。台地状の山頂の南端から農鳥への下りが始まる。農鳥は標高3000mを越える高山だが、この間ノからは幾分低く見える。
農鳥小屋
西農鳥登りから間ノ岳振返る
ここで先発した高校生パーティに追い付いた。この小屋は古き良き山小屋の雰囲気を残しているとあるが、トイレを借りようとした高校生が目が痛くなるようなアンモニア臭にスゴスゴと撤退してきた。農鳥小屋おそるべし。


西農鳥は絶好の展望台
槍穂高 中央アルプス
富士山 西農鳥から農鳥岳

農鳥岳山頂
本日最後の一登りで農鳥山頂に到着した。ここで北岳、間ノ岳の見納めと何枚もカメラに収めた。山頂に居る多くの登山者は北岳山荘からのピストン組だが、ここから間ノ岳を登り返して北岳まで戻るのも難儀なものだ。
南稜を下る
農鳥岳から南下するパーティは極端に少なくなる。私と似たような中年単独行が多い。途中は二重稜線が続き、窪地にはチングルマやシナノキンバイがお花畑を作っていた。こんな遅くまで花を付けているとは意外だった。
大門沢下降点
時刻は丁度11時。今日中に奈良田に下り最終バスに乗るか、途中大門沢小屋にテントを張るか、悩むところだ。とにかく、ここから一気の下りが待っている。小屋に着いた時刻で考えよう。
お花畑
下りには自信があったが先週の重太郎新道並みの急な下りである。更に樹林帯のため目標の小屋が見えないことからきつい下りとなった。PROTREKが表示する標高だけが頼りだ。それでも河原に出ると満開のシモツケソウやオトギリソウが慰めてくれる。
大門沢小屋
水場になりそうな小沢を2本横切ると、道は次第になだらかになりひょっこり小屋が見えてきた。受付前のテラスは立ち飲み屋然として、赤い顔をした酔っ払い(登山者)が屯している。ここまでヘロヘロで下ってきたがコースタイム3時間を2時間で下った計算だ。これなら最終バスに間に合う。ラスト3時間、いざ出発。
木橋
吊橋
先週の豪雨で沢沿いの道は荒れたようだ。頼りない失礼、修復間も無い木橋あり、宙ぶらりんの吊橋あり、ラスト3時間も充分楽しませていただきました。
奈良田バス停
バス停は温泉街を抜けた町外れにある。タバコを求めてさ迷ったが、集落にはコンビニはおろか自販機もろくに無い。日帰り温泉の売店でようやくゲット。



奈良田里温泉
内湯がひとつの何の変哲も無い温泉だが檜の湯船が疲れた足に心地よい。\500/人。山梨県の日帰り施設は休憩に追加料金をとる所が多い。ここも休憩は\1,500。案の上誰も利用していなかった。


高山植物




山梨県 南アルプス市
山梨県南巨摩郡早川町 〜南アルプス邑はやかわ〜