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山行記録 |
2005.10.15
土合駅6:40−7:00ケーブルカー駅7:10−天神平7:20−7:50熊沢避難小屋7:55−8:45肩の小屋避難小屋9:05−9:10谷川岳トマノ耳−9:20オキノ耳−10:00一ノ倉岳10:10−10:25茂倉岳−10:35茂倉避難小屋11:10−11:50矢場ノ頭12:00−12:401000m付近12:55−13:30駐車場−14:00土樽駅 |
やっぱり雨かあ〜。駅舎を叩く雨音で目を覚ました。ここ土合で駅寝したのは30年ぶりになる。当時通い詰めた駅舎は上越新幹線開通とともに時間が止まってしまった。駅前の廃屋が物悲しい。それでも谷川岳を目指す絶好のロケーションには変わりなく、我々の他にも駅寝した数人が寝ぼけ眼で雨空を見上げている。
先月リニューアルされた谷川ロープウェイを降りると、天神平はすっかり紅葉に包まれていた。雨はずいぶん小降りになってきて、谷川岳山頂や白毛門がうっすらと見える。程原を先頭に滑りやすい木道を歩き出した。彼と歩くのも30年ぶりだが、学生時代に何度と無く山行を共にした気心の知れた相手は楽なもので、5分も歩くとお互いのペースに慣れてくる。相変わらずペースが速い。
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土合駅 |
谷川ロープウェイ |
天神平から谷川山頂 |
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天神平から谷川岳山頂を目指すこのコースは、シーズン中は行列が出来ると言うが、秋雨ふる今日は誰も歩いていない静かなコースだ。木々の間から時折姿を見せる山頂を眺めながら、滑りやすい木道を進む。熊沢避難小屋を過ぎ、いくつか鎖場を越すと「天狗の休み場」に出た。既に森林限界を越え絶好の展望台となるはずだが、雨足が強まるとともにガスに覆われ、これまで姿を見せていた山頂もすっかり姿を消し何も見えない。こりゃあ山頂から引き返すことになるかな〜と弱気になる。さっき避難小屋で休んで一時間近くになる。傾斜も緩やかになりもう少しで肩の小屋に着くはずだが、すっぽりとガスに覆われ先が読めない。「次の高みで休もうぜ」とお互い声を掛け合った頃、ひょっこりと肩の小屋に着いた。
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熊沢避難小屋 |
肩の小屋 |
肩の小屋から
左日光白根、右上州武尊 |
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山の天気は変わりやすいとはよく言ったもので、我々が着くのを待っていたようにガスがさあ〜と消えた。早速、嬉々として四方の景色をカメラに収めた。上越国境の雄大な景色を独り占めと思ったら、先客が同じように写真を取りまくっていた。先客は若い女性だった。聞くとここから万太郎までピストンすると言う。ざっと計算して往復5時間、アップダウンが多くきついコースだが、我々が熊沢休憩所で休んでいる時抜かれた後、とうとうここまで追いつけなかったことを思えば、なんとかなるだろう。元気良く万太郎に向かう彼女を見送ってこちらも重い腰をあげた。こうなったら我々も行くしかないだろう。
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肩の小屋から万太郎 |
谷川山頂から白毛門
その向こうに尾瀬の山々 |
谷川岳山頂(トマの耳) |
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学生時代は夜行列車に乗って上越国境に通ったものだ。程原曰く、私はこの稜線を2〜3回通ったことがあるはずだと言うが、全く覚えていない。皆に言わせると同じ山に登っても常に新鮮な気持ちで居られる得な性格だという。あまり褒め言葉とは思え無い。当時はピークハントに徹し、カメラなんて荷物になるだけの無用なものと考えていた。まして高山植物の写真なんて思いもよらなかった。今思うとずいぶん勿体無い山登りをしていたようだ。
谷川岳はトマノ耳、オキノ耳のふたつのピークからなる双耳峰だ。二つとも肩の広場から僅かな距離だ。まだザックを降ろして休むには早過ぎる。ピークを踏んだ証拠写真を撮ると、直ぐに次の一ノ倉岳に向う。奥の院を過ぎ、少し下って登り返す。左越後側は幾分なだらかなのに対し、右上州側はスッパリと切れ落ちている。幸か不幸か再び湧き上がったガスのお陰でそれほど高度感はない。一ノ倉岳は魔の山と呼ばれるこの山域でも屈指の岸壁を持つが、山頂自体はクマザサに覆われた穏やかなピークだ。一角にドラム缶避難小屋がある。
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トマの耳を振り返る
草紅葉が美しい |
一ノ倉岳
またガスが出てきた |
一ノ倉岳避難小屋 |
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一ノ倉岳を後に茂倉岳に向う。それまで痩せた尾根道から一変して、遅くまで雪田が残るであろうじめっとした草原の中を歩くと程なく山頂に着く。茂倉岳は今回の山行で一番高い標高を持つ山だが、ピークには蓬峠方面と茂倉新道を分ける事務的な道標が一本建っているだけの平凡なものだ。残念ながら武能岳方面は湧き上がってきたガスで何も見えない。
左側がすっぱり落ちた茂倉新道を少し下ると避難小屋がある。このまま下っても土樽駅で時間をもてあますだけと大休止を取る。近くに水場やトイレがあり、地元有志に守られた清潔感あふれる避難小屋だった。次回はここを狙ってルートを組んでみたいものだ。
そろそろ出ようかというころ「また晴れましたよ」と後続者が入ってきた。この方は西黒尾根を登ってきたとおっしゃる。どうやら茂倉新道を下られるようだ。「駅で会いましょう」と声を掛け、小屋を出発する。なるほど、ガスも晴れて尾根の先に土樽方面が見える。
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茂倉避難小屋 |
茂倉新道
尾根の先には土樽方面 |
矢場ノ頭
後ろには足拍子 |
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草紅葉を眺めながらのびやかな尾根道を下る。この時期に花は無いだろうと思っていたが、咲き遅れたウメバチソウやコゴメグサがちらほら足元を飾っている。振り返ると、さっきは平凡なピークと悪口を言った茂倉岳が万太郎に続く上越国境稜線を従えて堂々とした山容を見せている。
矢場ノ頭で森林限界も終わり潅木帯に入る。地図を読むと土樽まで標高1000m下らなければならない。張り出した木の根を乗り越えながら、いかにも上越らしい下りだ。
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矢場の頭付近から |
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長い下りにうんざりするころ一面のススキに覆われた登山口駐車場に出た。ここから林道をラスト30分で土樽の駅に着く。こちらの駅も周囲は一変していた。駅前には関越自動車道の橋脚がそびえ、車の音が喧しい。これでは駅寝なんてうるさくて出来ないだろう。
それはさておき、駅に到着して真っ先に時刻表を確認するが、やっぱり1時間半待たなければならない。普段下界であくせく働いているとこの待ち時間は長い。暇だあ〜。
待合室で荷を解いていると、下り電車が到着した。ひょっとしたら?今日の山小屋パーティに出席する窪田が上越線でやってくるとメールに書いてあった。果たして、ひょうひょうと降り立った窪田をお出迎えすることになった。彼も急ぐ旅ではない。暇を持て余す我々に一時間半付き合ってくれるという。ううう....なんて良い奴なんだ。
3人で話に花を咲かせていると、突然「こんにちわ」と若い女性が入ってきた。見ると肩の小屋から万太郎に向った彼女だった。天神平に戻るのを止めて吾策新道を下ってきたらしい。現金なもので窪田を取り残し、マドンナを中心におしゃべりに夢中になる。そこに熊沢避難小屋でご一緒したおじさんも合流した。今日土合を発って土樽に降りたのはこの4人だけのようだ。妙な一体感であっという間に盛り上がる。置いてきぼりを食った窪田は、「さきに行ってるわ」と去っていった。....ううう窪田、すまん。夜のパーティで彼から非難されたのは言うまでも無い。
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茂倉新道下り |
土樽駅 |
仙渓寮さよならパーティ |
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高山植物 |
ウメバチソウ |
コゴメグサ |
アカモノ |
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