今回のタイトルは悩んでしまった。本来は栂海新道を狙ったが、初日の悪天候に嫌気が差し雪倉避難小屋であえなく撤退してしまった。印象深かったのは、強烈な風雨の中一夜を明かした雪倉避難小屋だが山行のタイトルにはならない。コース中一番標高が高かった、小蓮華岳をタイトルにしたが、仮称である感は否めない。
吹き飛ばされそうな風の中、全身ずぶ濡れで雪倉避難小屋に飛び込んだ。すっぽんぽんになって濡れたものを乾かそうと思ったら、あれれ...?既に10人位の登山者がシュラフに包まっていた。去年3時に着いて一番乗り、今年はそれより30分ほど早く着いたので、当然誰も居ないだろうと思ったら、この嵐に行動できず昨日から停滞していると言う。この後到着したパーティを加え、この日泊まったのは二十人弱とほぼ満員になった。夫々必死の思いでここに辿り着いたのを知っているから、醜い場所取りも無く上手にスペースを分け合って一段落した。隣り合った名古屋氏は同じく栂海新道を目指し昨日からここで停滞していたようだ。更に私と誕生日が13日早い同年で、ヘルニアを患った時期も一緒と知り、妙に盛り上がった。その隣の長野夫妻は、昨年栂海新道を走破されたとかで、黒岩平の素晴らしさを強調されていた。天候が回復したらせめて朝日岳までと進められたが、写真も取れそうにない天候に嫌気が差し、私は早々に撤退を決意していた。
打ち付ける風音と、寒さによく眠れないまま一夜が明けた。雨はあがったようだが、一面ガスの中で何も見えない。風は昨日同様ガタピシャ小屋を叩いている。朝日岳から蓮華温泉へのコースも頭を過ぎったが、昨日のコースを戻れば今日中に帰京できると計算し、早々に小屋を発った。んん...不完全燃焼。来年リベンジだ。 |
山行記録 |
04,07,17
栂池高原7:00−7:55栂池自然園8:15−9:30天狗原9:40−10:25雪渓−10:35ケルン10:45−11:15白馬大池11:20−13:30三国境14:40雪倉避難小屋
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栂池高原 |
何度と無く訪れた白馬岳だが、栂池から登るのは初めてです。ロープウェイ乗り場を駐車場やレストハウスが取り囲んでいるが、雨降りの早朝とあって人影もまばら。 |
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栂池パノラマウェイ |
ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで標高を稼ぐ。通しで\1,720はちょっと高いかな。 |
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栂池自然園 |
山頂駅舎からしばらく歩くとビジターセンターがある。自然園はこのセンターから入場する。ここで観光客やカメラマンと別れ、右手登山道に入る。暫く樹林帯の登りが続くが、マイズルソウやゴゼンタチバナが現れる。雨模様の早朝ではきれいな写真は望めないが、撮れるうちに撮っておこうとなかなか前に進めない。 |
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天狗原 |
水場を過ぎ、なだらかな木道になる天狗原に到着。池塘のある湿原が広がる。のんびりと休みたいが、まだまだ先は長い。 |
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白馬乗鞍岳直下の雪渓 |
天狗原を過ぎると、また樹林帯の登りになる。大岩が転がる歩きづらい道だ。ラストに100m程の雪田を渡り白馬乗鞍の山頂台地に辿りつく。 |
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白馬乗鞍岳のケルン |
何処が山頂やら判らないまま、平らな山頂台地を進む。大池への下り口に大きなケルンが積んである。 |
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白馬大池 |
正面に白馬大池を目指し、緩やかにハイマツ帯を下って行く。風が強く、遠目でも池の水面が波立っているのが判る。団体に巻き込まれ一向にペースが上がらない。 |
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白馬大池山荘 |
水辺の岩を選び、跳ぶ様に進むと池の畔にある白馬大池山荘に到着する。小屋の手前には遅くまで残雪があったのか、コイワカガミやハクサンイチゲが咲き残っていた。周囲は完全にガスの中で、小屋の前に広がるハクサンコザクラの絨毯もかすみがち。 |
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小蓮華岳 |
大池からハイマツ帯の長い登りが始まる。雷鳥坂と呼ばれるように雷鳥が出迎えてくれた。写真を撮ったがガスの中で識別できない。稜線に出ると更に風雨は強まり、やっとの想いで辿りついた小蓮華では、体が吹き飛ばされそうで休むどころではない。 |
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三国境 |
小蓮華からは、なだらかな下り坂で、稜線漫歩を楽しむところだが、雨具越しにあたる雨粒がアラレかと思うほど痛い。時折吹く突風に立ち止まって前傾姿勢を取る。やっとガスの向こうに人影が見えたと思ったら分岐があった。ここが三国境。 |
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雪倉避難小屋 |
鉢ヶ岳の巻き道の雪渓は硬くしまっていた。昨年通過したときにはそんなに危険と思わなかったが、風雨で表面がクラスト気味になっていた。最初の雪渓はヨチヨチ歩きでクリアしたが、次の急な雪渓では見事にスリップしてしまった。下を大きく迂回してようやくクリア。稜線に出るとまたしても横殴りの雨。全身ずぶ濡れで避難小屋に駆け込んだ。 |
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04,07,18
雪倉避難小屋6:30−8:20三国境−10:10白馬大池10:20−11:05ケルン−11:15雪渓11:25−12:15天狗原−13:30自然園−14:30栂池高原 |
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天狗原 |
悪天候に、今回は撤退することにした。避難小屋を飛び出し、昨日発った栂池高原へ逆戻り。皮肉なもので乗鞍の雪渓を過ぎた頃から天気は回復してきた。ちょっと悔しいが、まあ来年があるさ。 |
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