長沢背稜
2005.4.29-5.1


山野草



山行記録
2005.4.29
川井740++++748上日向750−820奥茶屋−920林道離小橋940−1000曲ヶ谷分岐−1120獅子口小屋跡1125−1210踊平1215−1255日向沢ノ峰1305−1405蕎麦粒山1415一1540一杯水避難小屋
上日向のバス停から林道を歩き出したのは私一人だった。川井駅を出るときには数人が乗り合わせたが、他は釣り客と見えて途中で降りてしまった。この林道は4年前の同じ時期に川苔山のルートとして歩いたことがある。そのとき軽装のハイカーに混じって一人場違いなデカザックを背負った単独行がいたのを思い出した。今日は私がデカザックを背負っている。今年のGWはここから長沢背稜を雲取山へ二泊三日の縦走だ。
ようやく林道を離れ大丹波川に掛かる小橋で最初のピッチを取る。あたりには二輪草が白い花を付けている。
大丹波川の小橋
曲ヶ谷分岐 記録を振り返ると小橋から獅子口小屋跡まで、先回は一時間っだのに今回は一時間四十分と大幅に時間が掛かっている。この数年で山野草を覚えたから撮影に時間が掛かったのだろう。主役の二輪草の他にネコノメソウやタチツボスミレが次々と現れ歩いている暇が無い。けっして体力が衰えたとは思いたくない。それにしても....。
数年の間にルートも整備されたようだ。当時は廃道然であった曲ヶ谷沢の入り口にはなにやら立派な道標が立てられていた。次回は挑戦してみたいものだ。
やがて山葵畑が現れ、一登りすると獅子口小屋跡だ。小広い広場になっている。昔は建物があったのだろう。計画ではここから尾根に取り付き川苔山に立ち寄っても良いかなと思っていたが、そんな体力の余裕は残っていない。迷わず踊平に向かった。
ガイドブックによると今日泊まる一杯水避難小屋の水場はあてにならないようだ。獅子口小屋跡に立派な水場があるのは判っていたが、なるべく標高を稼いでから給水したいのが人情だ。あえて途中の水場をあてにしたが、それがなかなか現れない。見逃したか?やばいかもしれないと不安になったころ沢の源頭に水が落ちるパイプを見つけた。ああ良かった。ここが最終水場らしい。
最終水場
踊平 登山道は林床にバイケイソウが群生する急斜面をジグザグに登ってゆく。さっき給水した2リットルがずしりと重たく感じ、なかなか足が進まない。歩いては止まり、止まっては歩きながらやっと踊平に出た。日原方面の展望が開けるはずだったが、薄ぼんやりの天候で霞んでいる。稜線には防火帯として刈り払われた草地の尾根道が続いていた。いくぶん標高が高い分、木々の芽吹きはまだまだのようだ。
しばらく行くと、岩峰が現れる。そこが日向沢ノ峰かと思いがんばって登ると目指すピークはまだ先だった。しかし眺めは素晴らしく後ろを振り返りと川苔山が見えた。周囲にはアセビやミツバツツジが花盛り、なんだかんだ理由を付けてはすぐに休んでしまう。 日向沢ノ峰途中の岩場から川苔山
蕎麦粒山 日向沢ノ峰でアクシデントが起こった。2週間前に購入した新品のザックの左肩紐がブッチリ切れてしまった。(下山後、店に持ち込み無償修理してもらっている。)その瞬間はどうしようとパニクッたが、このままでは下山すら出来ない。幸いあれこれ工夫してベルトを結び背負うことが出来た。とりあえず一杯水まで行って様子を見よう。
蕎麦粒山には巻き道があるようだが、それを見つけることが出来ず、結局山頂まで登ってしまった。既に14時を廻り、先着していた夫婦連れが去ると山頂は私一人だ。
防火帯は蕎麦粒山頂で終わり、その先は普通の登山道が延びている。さほどアップダウンの無い歩きやすい道だ。
避難小屋の2〜3分手前に一杯水の水場がある。私が立ち寄った時には水が出ていなかったが、それを聞いた先客の方に直して頂き、無事給水できた。どうやらパイプの繋ぎ目から水が漏れていたようだ。
小屋の前のベンチで先客の方々と山や写真の話でしばし歓談。本日の宿泊は10名と丁度よい人数だった。2〜3名分の毛布あり。
一杯水避難小屋



2005.4.30
一杯水避難小屋455−535ハナド岩−610七跳尾根分岐ー650酉谷避難小屋715−800タワ尾根分岐805−850天祖山分岐−935長沢山940−1130芋の木ドッケ1145−1215大ダワ1225−1245雲取山荘
登山道 ザックのアクシデントからこのまま日原に下山も考えたが、せっかくの連休がこれで終わるのはもったいない。だましだまし雲取山まで行こうと5時に出発した。天祖山分岐までは、日原側に延びる巻き道を辿ることが出来る。所々に桟道やガレ場が現れるが、アップダウンの少ない歩きやすい道だ。
木々の向こうに酉谷山と青い屋根の避難小屋が見えた。さあ次の休みはあの避難小屋と足取りも軽くなる。そろそろ小屋が見えてもよいころと思った時、下のほうからチョロチョロ水音が聞こえた。小屋は銃走路から10mほど下った斜面にへばりつくように建っていた。中を覗くと定員は5〜6名か?一杯水の半分程度の広さだが、最近立てられた新しい小屋だった。水場もすぐ前の広場にある。2〜3名分の毛布とマットがあった。

避難小屋内部
酉谷避難小屋
天祖山分岐 左手に木々に遮られながらも、中腹にある会所でそれと判る天祖山が見えてくる。道は緩やかに下ってゆくが、ひょっこり分岐の道標が現れた。まっすぐ広い道を行くと天祖山だ。長沢山へはUターンして右手尾根を登り、更に稜線を乗越し、秩父側を緩やかに巻いてゆく。このあたりからオウレンがの白い花が苔むした林床に現れた。
今までと様子を変えた登山道にちょっと不安になるが、やがて間違いようにない痩せ尾根上の一本道になりほっとする。左に見える雲取山はまだまだ遠い。このあたりは左右にシャクナゲが繁茂している。シーズンいはさぞ見事だろう。道標に小さく長沢山の表示があった。長沢背稜という割りには、そう書いていなければ判らない目立たないピークだった。 長沢山山頂
芋の木ドッケの倒木 痩せ尾根を抜け芋の木ドッケの登りに掛かる。標高差200m程のだらだらした長い登りだ。次第に倒木が多くなる。昨年の台風による影響だろう。なんていってられたのは最初のうちだけだった。跨いだり、潜ったり、まるで障害物競走のようだ。ザックを背負ったまま腹ばいになって進むしかない箇所もある。さすがに堪えた。
ヘロヘロになって登り詰めると三峰神社へ分岐だった。先ほど抜かれた信州大学OB3人組がランチタイムの最中だった。やはりこの倒木に嫌気が差して大休止となったらしい。今日は混雑するだろう雲取山頂避難小屋を避け、鷹ノ巣山避難小屋まで行かれるらしい。
茂みの向こうに鹿がガサゴソやっている。すわシャッターチャンスと思いきや先客の皆さんがおっしゃるには、さっきから鹿がまとわりついて離れないらしい。なるほど逃げるどころか、餌をねだって寄ってくる。痩せこけた姿は哀れだが、無責任な行為は慎まなければならない。
人慣れした鹿
100Kマラソン 転がり落ちそうな急坂を下り、大ダワに向かっていると後ろから足音が迫ってきた。振り返ったときには抜かれていた。うわさに聞く100K山岳マラソンの先頭ランナーだった。6時に青梅をスタートし、棒ノ折山から長沢背稜を雲取山に登り鴨沢に下る。更に三頭山に登り返し、ゴールは高尾山だ。それを何日で?と聞いたら今日中にゴールすると言う。この辺りは行程の1/3にあたるだろう。ただただ脱帽する。
雲取山荘のテン場に到着した。早速山荘でキャンプ申込みがてらビールを買出しする。ここまで殆ど登山者に遭わなかったのに、何処から沸いてきたのだろうと思うほど雲取山荘のベンチは大賑わいだった。 雲取山荘
山頂から石尾根 山頂から飛竜 テントでゴロゴロしていたが、西日が射す頃、空身で山頂に向かった。シラビソの斜面を行く登山道には所々雪が残っていた。山頂にはまだ大勢の登山者がたむろしていた。山頂の避難小屋は今日は満員だろう。
雲取山荘テン場 雲取山荘テン場は登山道の脇に長く並んでいる。私がテントを張った昼下がりには閑散としていたが、5時を過ぎるとズラリと列が出来ており、その端は下の雲取ヒュッテまで延びていた。隣のオヤジがラジオを付けたまま寝入ってしまったのには参ったが、概ねマナーの良いテン場だった。水場やトイレは山荘の脇にある。¥300/人。
夜更け物悲しい鹿の鳴き声に起こされた。10m位まで近づいて来たのだろう。ガサゴソ足音まで聞こえる。耳を澄ましているうちに寝入ってしまった。



2005.5.1
雲取山荘510−520大ダワ−740長沢谷750−815富田新道分岐−920八丁橋925−1005東日原1010++++1036奥多摩
今日は最終日だ。あわよくば飛竜山を越えることも考えたが、ザックが不調なのであまり無理はすまいと、大ダワ林道を下ることにした。我ながら最近理由を見つけるが上手くなったと思う。
実は昨日大ダワで休んでいた時、ハイキング姿のトッポイ兄ちゃん達が登ってきたのを見て楽勝コースと思ったのだが、これが大間違い。林道とは名ばかりで完全な登山道だった。
どこが林道?
初夏の山肌 ミツバツツジや山桜が初夏の山肌を彩っている。
コースは大雲取谷を大きく高巻いて下ってゆく。全体としては歩きやすいが山慣れた私でもあれっ?と思うような箇所もある。林道に出る30分ほど手前に、土砂崩れで30mほど登山道が崩壊している箇所があった。足首まで土にもぐりながら恐る恐るトラバスした。、まだシーズン初めで整備不足なのだろう。 崩壊地
長沢谷 尾根を乗越すと長かった水平道もそろそろ終わり長沢谷の向こうに林道とが見える。向こうに行くには谷底の小橋を渡らなければならないが、いやになるほど深い谷だ。
大ワダ林道で思いがけず時間を食ったので次のバスと思っていたが、急げば10:10のバスに間に合いそうだ。これを逃すと一時間半待たなければならない。疲れた足に鞭打って東日原に向かう。稲村岩が見えてきた時には思わずほっとした。 日原のシンボル稲村岩
東日原バス停 やっとこ東日原に到着し、早速、店に駆け込んでタバコとビールをゲットした。半日ぶりの一服が終わると直ぐにバスは発車した。

奥多摩駅から主要登山口へのタクシー代


山野草



奥多摩村