親父が梯子から落ちて肋骨にヒビが入ったと知らせがあった。私に似て偏屈な親父だから見舞いに帰ると言うと、煩がるに違いないので、山行のついでに立ち寄ることにした。公の山行だからカミサンから交通費も貰える。.......これって親孝行?
床から起き、昨日から庭いじりを始めたという親父は思ったより元気そうだ。「三ツ岩岳って何処にあるんだ。」三ツ岩岳は現役時代舘岩中学で教頭をやっていた親父でさえ知らない不遇の山だ。「2000m以上ある伊南と桧枝岐の境にある山。」と答えると「磐梯山より高いのか。たいしたもんだ。」この山に肩入れする訳ではないが、自分が褒められたようでちょっぴりうれしい。
地元の人にも知られていない山だが、地元伊南村では売り出しにやっきになっているようで、登山口には山開きの横断幕が張ってあった。もっともその甲斐も無く、バス3台に分乗した夜行尾瀬号の乗客の中、小豆温泉でバスを降りたのは私一人だけだった。気の早いオバサン達が遅れまいと一緒に腰を浮かすが、「会津駒はまだですよ。」と運転手にたしなめられて、怪訝そうに車窓から私を眺めていた。
このコースは南会津らしいブナの原生林に始まり、ハクサンコザクラが咲く高層湿原が続き、森林限界を越えた稜線からは周囲の山並みが一望できるコンパクトにまとまった山だ。なにより人気の無い静かな山行が楽しめる。今日も出会ったのは20人強。殆どが単独だったが、途中鍋釜を背負った数名のパーティもいた。明日の山開きに備え、避難小屋で一夜を明かす地元の人だろう。次回は紅葉の時期に隣の窓明山へ縦走してみよう。 |
山行記録 |
07.03
小豆温泉5:05−0525渡渉点0530−6:00支稜上部6:05−6:45旧道分岐6:55−8:30避難小屋8:35−9:10三つ岩岳9:25−10:00避難小屋10:25−11:25旧道分岐11:30−12:05支稜上部12:10−12:45小豆温泉 |
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登山口 |
初めて訪れる人は要注意。スノーシェドの屋根に延びる斜面が登山道。登りはまだしも下りは縁から道路に落ちそうで怖い。目印と安全を兼ねて手摺でもつければ良いのに。 |
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登山道 |
半信半疑で登ってみたスノーシェイドの屋根が実は登山道。この矢印の先にある階段から右斜面に登る。 |
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黒檜沢の滝 |
地図に載っていないが、立派な滝だ。登山道はこの滝の右岸をさらに上流に進む。 |
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黒檜沢渡渉点 |
V字状のコンクリートの階段を2mほど下り、これもコンクリートの踏み石を辿り対岸に渡る。なるほどよほどの増水で無い限り靴は濡れないし、橋と違って壊れることも無い。 |
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枝稜上部 |
沢沿いの道もやがて支稜に取り付きえっちら登り切り高台に出る。爽やかな風が快適だ。山頂を示す手作りの道標が在る。 |
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ブナの原生林 |
南会津らしいブナの原生林を進む。残念ながら展望は無い。 |
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湿原を横切る |
尾根沿いの登り一方の道から、次第に平坦な巻き道に変わる。数本の小沢を横切り、水場には事欠かない。小さな湿原を横切ると旧道分岐は近い。 |
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旧道分岐 |
ここまで辿ってきた沢沿いの新道と尾根沿いの旧道とが合流する。 |
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木々の合間から三ツ岩岳 |
旧道分岐で追い付かれた那須氏と暫くご一緒する。氏は定年後、山を始められ深田100名山や地元の100名山を次々と走破されているとのこと。花を見つけては写真を撮る私とはペースが合わない。早々に白旗を揚げ先に行って頂いた。 |
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稜線直下の池塘 |
道はなだらかになり稜線が近づいているのがうかがえる。ぽっかりと樹林が途切れ小さな池塘のある湿原が現れる。 |
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避難小屋 |
湿原に流れ込む水流を暫く辿ってゆくとログハウス風の避難小屋の前に出た。トイレは無いが小屋の前に豊富な水場がある。土間と板敷きがあり収容は20人程度。避難小屋にしては上等な部類だ。 |
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窓明山 |
小屋に荷を置いて山頂をピストンした。急登を登る背中に見えるのが窓明山。小屋の前から縦走路が分かれている。 |
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山頂付近から会津駒 |
昨年お盆休みに登った会津駒が薄ぼんやりと見えた。燧ケ岳や越後の山が見えてもおかしくないが高曇りでよく判らなかった。 |
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山頂から更に高台 |
山頂に到着した。三角点はここにあるが、200〜300m先にある高台のほうが少々高そうだ。雪田が見え、お花畑があることがうかがえるが、シャクナゲの手強い藪が待ち構えている。今の私には行く術も無い。 |
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登頂記念 |
途中ご一緒した那須氏に再会し、写真を撮って頂いた。この分なら12時には下に着きますね。と氏はさっさと下山された。元気なことだ。また何処かでお会いしますように。 |
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三ツ岩 |
山頂から暫く下ると行く手に三つのコブが見える。これがこの山の名前のいわれであろう。紅葉に時期に再訪を誓って今回の山行は終了。それにしても下りは暑くて参った。 |
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