小海線清里駅 |
清里駅前 |
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韮崎を出ると列車は蛇行しながら甲府盆地を這い上がってゆく。車窓に映る甲斐駒や八ヶ岳が右に左に忙しく位置を変える。このあたりは雪をかぶった甲斐駒をバックに桃の花が咲き乱れる桃源郷として名高いが、まだ早春とあってスモモの白い花が咲き始めたばかりのようだ。
二十数年前に、うだるような暑さの時期に、八ヶ岳からここ清里に下山したことがある。大勢の観光客のなか、むさ苦しい登山スタイルは何か場違いな感じだった。今日はオフシーズンの上に、石和を早朝に発ったこともあって、駅前は閑散としていた。正面に富士山を見ながら郵便局の交差点を左に入る。
バブル時の遺産だろうか、所々に廃墟と化したリゾートマンションや店舗の残骸がある。私が所属していたDWVのOB会でも山小屋再建の話が盛り上がっているが、何年か後には足が遠のくであろうその時、老朽化し見捨てらる建物のつけは誰が払うのだろうか。
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平沢登山口 |
雪の残る登山道 |
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国道を渡り、「千ヶ滝」の標識に沿ってユースホステル横から大門川に下る舗装道路に入る。道なりにのんびり歩いて平沢集落に入ると、大きく「飯盛山登山口」の標識がある。このあたりまで来ると田園風景が広がり彼方には北岳が甲斐駒と鳳凰三山の合間から頭をのぞかせているのが見える。
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雑木林の中、霜柱で固まった道は緩やかに高度を上げてゆき、やがて雑木林を抜けると標識「飯盛山1km」のある広場に出る。
ここから見える三角錐の飯盛山に向かって砂礫の道がうねうね延びている。標高1600mの割には亜高山帯の様相で、潅木の頭越しに周囲の山並みをぐるり見渡しながらちょっとした縦走気分が味わえる。
オニギリのような山頂にはそれを示す表示が建っているだけのこじんまりしたものだが、展望は一級品だ。
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飯盛山まで1km |
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金峰山 |
富士山 |
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南アルプス(写真クリック壁紙) |
八ヶ岳(写真クリック壁紙) |
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誰もいない山頂で展望を充分に楽しんだ後、野辺山方面に下ることにした。正面に八ヶ岳を見ながらの平坦な展望コースだが、十時を過ぎ霜柱が緩んだ泥んこ道になっては油断できない。平沢山を過ぎるとルートは尾根の北側をなぞるようになる。これまでの南斜面と違い雪がべったりへばり付いていた。足元からは野辺山スキー場の歓声が聞こえる。アイゼンを利かせてとっとこ下ってゆくとひょっこり平沢峠に飛び出した。駐車場脇にある溶岩の塊が獅子岩と呼ばれる展望台だが、薄曇の天候が災いして展望はぱっとしない。ここから30分ほど舗装道路を歩き、JR最高駅の野辺山駅に着いた。
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眼下には野辺山スキー場 |
平沢峠 |
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