北岳
2005.7.2-3


お花畑



今年は6月から高山植物を求めて飛ばしている。特に7月初めの土日といったら北岳草しかないだろう。
北岳草は6月中旬から北岳山頂付近に咲く固有種である。もっと早く出かけたいが、甲府発広河原行きバスが運行される7月1日を待つとこの時期になってしまう。
前日までは悲観的な天気だった。甲府にあるE社の堀さんに電話してみると、甲府盆地は大雨で最悪の天候らしい。ムーンライト信州の指定券をゲットして準備万端整えていたがその夜の出発は見合わせた。
翌朝、雨の予報だったが、うっすらと日が差している。まあ行くだけ行ってみようと家を出て始発電車に乗り込んだ。今日も見送りはチャチャだけだった。
山行記録
2005.7.2
甲府9:00++++11:10広河原11:25−12:45右岸に渡る−13:45大樺沢二俣14:00−15:00雪田15:10−15:50御池分岐−16:15小太郎尾根16:25−17:00肩の小屋
バスが広河原に到着すると、アルペンプラザの広場では、丁度開山祭の式典が始まっていた。ソマ人の装いをした案内人が見守る中、枝でこしらえたアーチを登山者がくぐる。どんな謂れがあるのか知らないが、自身の安全登山を祈念して列に並んだ。聞くところによると、終了後参加者にお蕎麦がふるまわれたらしい。惜しいことをした。
今日は雨模様かなと思っていたが、一部に青空が見えるまずまずの天気だ。広河原山荘で身支度を整え出発した。
開山祭
大樺沢 途中、御池への分岐を分け大樺沢沿いを二俣へ向った。今回御池コース、大樺沢コースの両方を歩いてみたが、大樺沢コース沢沿いの方が歩き易い。現れる高山植物を撮影しながら知らず知らずに高度を上げてゆく。
コースはいつしか崩壊地を避けるように右岸に渡る。対岸の崩壊地から断続的に岩雪崩の音が聞こえる。再び左岸に戻るあたりから大樺沢の全容が見える。遠くに二俣の大岩が見えるが、なかなか近づかない。
二俣に着いたのは、既に14時。普通ならそろそろ行動終了の時刻だが、周りの登山者の様子をうかがうと皆、肩の小屋を目指すらしい。
計画ではここから御池に向かう予定だったが、明日の天気はどうなるか判らない。天気の良い今日のうちに肩の小屋まで行こうと思い直して肩の小屋を目指した。到着は17時になるだろう。

二俣から一時間ほどで雪田に着いた。このあたりが二俣と稜線の中間に当たる。まだたっぷりと雪が残っていた。雪田を過ぎるとニリンソウやシナノキンバイが現れいよいよお花畑が始まる。 御池分岐を右に分けると稜線までラスト10分だ。きつい登りだがコイワカガミに励まされて耐える。
雪田
小太郎尾根分岐から  甲斐駒、仙丈 北岳
小太郎尾根分岐にでた。突然視界が開け、甲斐駒や仙丈が姿を現す。そのドラマティックな様は写真では言い表せない。
前方を見ると目指す北岳とその手前に肩の小屋が見える。まだまだ遠いが、それほど標高差が無いのが救いだ。これから稜線漫歩の始まりだが、仙丈方面から吹き付けてくる風に手がかじかんでくる。
2年前に来た時よりより2週間ほど早いせいか、テント場の半分は雪で覆われていた。それでもうまい場所を確保して、入り口を南に向ける。居ながらにして正面に鳳凰三山と富士を望む。絶好の展望台だ。
2時頃目が覚めトイレに発つ。やせ細った月空に満天の星。明日も雨の心配は無いだろう。
肩の小屋
2005.7.3
肩の小屋4:10−4:40北岳山頂・・・・5:50北岳−6:40肩の小屋・・・・7:25肩の小屋−7:40小太郎尾根7:50−8:00お花畑8:05−8:50白根御池8:55−10:25広河原++++12:30甲府
北岳山頂から観音岳の日の出 薄明るくなるとついつい気が逸る。まず山荘前に移植された北岳草を観察する。花はハクサンイチゲやチョウノスケソウに似ているが葉が全く違う。撮影にはもっと明るくなってからの方が良いのだが、日の出を待たずにサブザックを背負って北岳山頂に向かった。
北岳は標高3192mと富士山に継いで高い山だが、今回は山頂に興味は無い。しだいに赤く染まる間ノ岳を正面にさっさと山頂を下る。
途中すれ違った登山者に、山頂近くの穴場を教えて頂いた。うかがうと、北岳草は八本歯から北岳荘へのトラバスルートに群生しているが、そこは既に花が終わっていて、撮影には向かないと言う。がっかりすると、なあにそこにありますよと先に発って教えてくれた。彼女達の安全のため場所は秘密。トウが立っている感は否めないが、まだ蕾もあった。踏み荒らされないように祈りたい。(...自己矛盾を感じながら)
目的を達成してテン場に戻ろう。
誰も居ない山頂で改めて回りを眺める。梅雨時でこれだけ上天気なのは珍しい。日本の3000m級の山の殆どが見える。
うすぼんやりと乗鞍と北アルプス。中央アルプスの向こうに見えるのは御岳だろう。
チョウノスケソウの穴場を見つけ登りの倍の時間を掛けて下った。
手前のピークから北岳、間ノを振り返る
さらば肩の小屋 北岳も見納め
下る途中で、昨夜肩の小屋に泊まった登山者がどんどん登ってくる。
テン場に戻ると殆どのテントは撤収され、私のテントを含め2つしか残っていなかった。さすが南アルプスのテン場は違う。
小太郎尾根で山並みに最後の別れを告げお花畑に向かう。
お花畑
お花畑のなかでも、御池分岐周辺が、特に花の密度が濃い。2年前はガスのなか、カメラに水が入り幽霊のような写真しか撮れなかったが、シナノキンバイの群生があたり一面を黄色に染めあげている。
白根御池 何年か前に雪崩で潰された御池小屋は、プレハブで仮営業しているが、その脇に鉄筋の新屋を作っている。重機が入り、ヘリが資材を荷揚げしている。まさに工事現場の様相を呈している。昨日ここにテントを張っていたらヘリの風圧で飛ばされていただろう。なにより喧しい。
御池小屋の脇から登山道に入る。しばらくうっそうと茂る樹林帯に延びる水平道で20分進んでも下る気配が無い。本当にこの道で良いのか不安になる頃広河原を示す道標が現れ一安心だ。ところが一旦下り始めると、まっ逆さまの道だ。登りには採りたくない。
甲府行きバスの発射時刻5分前にゴールインバス待ちの集団の後につき、水場でタオルを使い汗を流していると、あれれ〜。甲府行きのバスが目の前を行っちまった。まわりは皆平然と見送っている。しまった。この連中はこれから北沢峠に向かう集団のようだ。どうりで小奇麗な格好だと思った。少し遅れてやってきた芦安駐車場行きを無理やり止めて乗り込んだ。どうせ時間待ちする夜叉神で乗り換えさせてもらえば良い。
最後は締まらなかったが長年の宿題をクリアして大満足。
急な下り


お花畑