乾徳山
2005.4.16




甲府盆地は初夏を思わせる陽気だった。あわよくば雪をかぶった南アルプスをバックに桃源郷の様を撮影しようと思っていたが、ぼんやりと春霞がかかり、展望はまったく期待できない。今日向かったのは乾徳山だ。比較的交通の便がよく首都圏から日帰り登山に手頃な山だが、いつでも行けると思って残っていた山だ。
山野草

山行記録
2005.04.16
塩山駅808++++843徳和−925乾徳山登山口930−955銀晶水1000−1045錦晶水1050−1055国師ヶ原1100−1125月見岩1130−1215乾徳山1230−1300月見岩1320−1345林道合流−1420道満山−1445徳和峠1450−1520徳和1618++++1648塩山駅
徳和
西沢渓谷行のバスは、馬込を過ぎるとすぐ左折して、徳和に寄り道する。ここでそれぞれ単独行のおじさん達を降ろすと、来た道をさっさと引き返していってしまった。午後に塩山に向かうバスは16:16一本だけだ。今日は飛ばしても意味が無い。のんびり行こう。
吉祥寺
バス停から徳和集落を見上げるとひときわ桜の美しい山寺がある。吉祥寺だ。境内には新羅三郎義光お手植え伝説が残る「新羅ザクラ」がある。早朝とあって誰もおらず、満開の様を独り占めした。
乾徳山登山口
集落を抜け徳和川に沿ってズンズン進んだら、行き止まりの堰堤にぶち当たってしまった。少し戻って、もう一本上に延びる林道を辿るのが正解だ。そう言えばエリアマップにも微妙なS字カーブが記されていた。まあスミレやケマンソウが撮れた分、良しとしよう。
案内図
銀晶水
登山口でぐずぐずしていたら、続々と登山客を乗せたタクシーが到着して大賑わいになった。急かされるように薄暗い杉林を進む。出だしから急ピッチだ。先に見える木々の切れ目でシャツを脱ごうと広場に飛び出したら、そこが銀晶水の水場だった。パイプから流れる水流は細く、夏場には枯れてしまうかも知れないが、冷たくておいしい水だった。
登山道
銀晶水から、登山道はカラマツ林を進んでゆく。ガサゴソいう物音に目を凝らすとリスが走り抜けていった。カメラを構えるが、物陰に隠れたまま姿を現さない。
錦晶水
やがて登山道の右手に水の流れる音が聞こえてくる。一頑張りで錦晶水の広場に出た。先の銀晶水より水量は多い。思わず一口含んだが、周囲には古くからのゴミが散乱し、一角には朽ちたトイレがある。生水を飲むのはやめた方が良さそうだ。
国師ヶ原から乾徳山
錦晶水から数分で国師ヶ原と呼ばれるカヤトの原に出た。キャンプ場として利用されているのだろう。あちこちに焚き火の跡がある。正面には乾徳山が見える。
国師ヶ原道標
国師ヶ原で登山道が交差する。左が水のタル、右が大平牧場、そして真ん中がこれから向かう扇平経由で乾徳山に向かう道だ。
国師ヶ原ヒュッテ
水ノタル方面に2〜3分足をのばして国師ヶ原ヒュッテに立ち寄ってみた。昔は営業小屋だったのだろうが、今は無人の避難小屋だ。板敷きの床は汚れていたが、建物はしっかりしており充分に使える。水場は無い。先の錦晶水まで戻るのだろう。
内部写真
月見岩
さっきの道標まで戻り扇平を目指す。潅木帯を抜けると一面カヤトの海になる。向こうにひときわ大きな岩が見える。これが月見石だ。道満尾根と合流するT字路になっている。
天狗岩
樹林帯を抜け痩せ尾根を辿ると、山頂直下で天狗岩と呼ばれる一枚岩に行く手を阻まれた。ここはガイドブックやHPに必ず載っているいわば乾徳山の名所だ。右手に巻き道もあるが、ここまで来てパスする手は無い。勇んで足を向けると、団体さんに道を譲られ、衆目を浴びて登る羽目になってしまった。最初の5mがきびしい。僅かな岩の裂け目に足を掛け、鎖を掴んで腕力で登ると、無理な姿勢に足がつりそうになりやばかった。後半は鎖を離し右にシフトして、手掛かりの多い岩をよじ登った。
乾徳山山頂
天狗岩から飛び出したところが山頂だ。ごつごつした岩で覆われた狭い山頂で、腰をおろす場所もない。360度の展望台のはずだが、今日の曇り空では、隣の黒金山がぼんやり見えるだけだった。
扇平から乾徳山
混雑する山頂を避け、扇平に戻ってランチタイムとした。雨の心配はなさそうだが、雷の音に急かされて早々に切り上げた。帰りは道満尾根を下るとしよう。
小屋沢の頭付近
のびやかな展望の良い稜線を進む。視界が良ければ正面には富士山が見えるのだろう。
途中の林道
途中何箇所か大平牧場から伸びる林道を横切った。道満山手前の林道には重機が入り、舗装工事の最中だった。やがてマイカーでこちらから入るのが主流になるかも知れない。
道満山山頂
道満尾根と言う割には目立たない山頂だ。表示が無いと気がつかずに通り過ぎてしまう。
徳和峠
道満尾根は上部はなだらかだが、標高が低くなるにつれ急な下りが続く。峠の手前は大きくえぐられて歩きづらい。
徳和集落
雷に追われてトットコ下ってきたが、次のバスまで一時間もある。バス停脇の公園でコーヒーをいれていると途中出会ったパーティを乗せたタクシーが次々と下りてゆく。結局バスに乗り込んだのは今朝乗り合わせた単独行のおじさん達だけだった。
塩山から丁度やってきたホリデー快速に乗れた。特急の車両にちょっと得した気分になった。

山野草



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