長いトンネルを抜け勝沼に近づくと左手の車窓には甲府盆地、更に雪を被った南アルプスが現れる。笹子、甲斐大和と山間の駅を過ぎた後だけに、その出現はドラマチィックでもある。今日向かったのはその長いトンネルの上に連なる甲州高尾山と棚横手山だ。
高尾を出るときには大勢のハイカーが乗り合わせていたが、駅に着くたび思い々の山に向かって降りてゆき、笹子を過ぎるころには誰も無くなった。勝沼駅を降りた登山者は私一人だった。この駅は夕方から無人駅になる。駅前にはコンビニはおろか一軒の店も無い。その割には立派な駅舎で、十台近くのタクシーが並んでいた。今日のルートはこの駅を発ち、この駅に戻るコースだ。運ちゃんの熱い視線を背中に感じながら歩き出した。
甲州高尾山は1106m、棚横手山は1306mとこのあたりでは裏山の部類だ。数年前に起きた山火事が木々を焼いたので、丸裸の尾根には日陰が無く夏の暑い時期は似合わない。冬枯れの展望を楽しむにうってつけの山だ。甲州高尾山から先の尾根道には、一昨日横浜にも振降った雪が申し訳程度に残っていたが、先方者の足跡は無く棚横手山頂は独り占めだった。
同じルートを戻るのは芸がないと大滝不動尊に下山したが、北斜面のコースだけに足首までもぐる雪が残っていた。大滝は半分凍結しており拝殿から見上げるその様はなかなか見応えがある。社務所は閉ざされ人影は無い。雪がへばり着いて急斜面となった石段を降るのが、今日最大の難所だった。 |
山行記録 |
2005.2.26
勝沼ぶどう郷駅8:40−9:10大善寺9:15−9:50柏尾山10:00−11:05甲州高尾剣ヶ峰−11:10甲州高尾山11:20−12:00富士見台−12:30棚横手山13:10−13:35展望台13:40−13:55大滝不動尊−15:20勝沼ぶどうの丘 |
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勝沼ぶどう郷駅 |
道標に沿って大善寺へ続く散策路にはいる。この道は葡萄棚に沿って高台に延びており、すこぶる展望が良い。御坂山塊や奥秩父がくっきり見えたが、肝心の富士山や南アルプスは残念ながら雲の中だ。途中横浜線から富士山が見えたのだから、もっと早い時刻だったら良かったのかもしれない。 |
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大善寺 |
平安時代に行基によって開かれた長い歴史を持つ。ここで法薬として栽培された葡萄が甲州葡萄の始まりと言われる。多くの国宝や重要文化財があり時間があった立ち寄ってみたかった。 |
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五所神社 |
大善寺のすぐ先にある小道から登山道が始まる。小さな石段を登り鳥居をくぐると小さな社がある。一角には東屋風の展望台がある。社の裏に見える、鉄塔のそびえているのが柏尾山だ。 |
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柏尾山 |
今日のコースには3箇所の急登がある。剣ヶ峰、棚横手、そしてここ柏尾山だ。まだ調子が出ないうち、いきなりの急登に息が切れる。 |
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柏尾山から奥秩父 |
山頂鉄塔の基部でひとやすみ。この日は北側奥秩父の山並みが:きれいに見えた。ひときわ白い雪を被っているのが金峰山だ。国師、甲武信、更に飛龍が見える。 |
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甲府盆地 |
眼下には箱庭のように甲府盆地が広がっている。富士山や南アルプスは残念ながら雲の中だ。 |
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甲斐駒ケ岳 |
僅かの雲の切れ間から申し訳なさそうに甲斐駒が見えた。この鋭角の頂は山岳同座の良い目印になる。 |
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菱山深沢林道横切る |
二番目の急登である剣ヶ峰をえっちら登っているとあれれ?林道に飛び出した。気を取り直して、更に一上りすると甲州高尾山剣ヶ峰だ。 |
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甲州高尾山 |
剣が峰から5分で甲州高尾山に着いた。尾根の小ピーク風の山頂である。道標が無かったらどこが山頂だか判らないかっただろう。 |
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八ヶ岳 |
茅ヶ岳の左に真っ白な頂が見えた。方向からすると赤岳のようだ。 |
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富士見台 |
1000mを超え、尾根道には僅かながらも雪が残っている。甲州高尾から先にはウサギの足跡だけが残っていた。昨日今日は誰も歩いていないらしい。この先の高台が富士見台だ。 |
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富士見台から棚横手山 |
焼け跡の植林のためだろうが、大規模な林道が建設されている。山肌が削られ痛々しい。 |
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棚横手山直下 |
写真では判らないが、結構な急登である。もちろん登り詰めた山頂には誰も居ない。年末に登った笹子雁ヶ腹摺からお坊山を正面に見ながらランチタイム。 |
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お坊山 |
御坂山塊 |
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展望台 |
帰りは富士見台手前から大滝不動尊に降りた。林道には除雪が入っていたが、途中の登山道は足首まで雪がもぐる。小さな祠が祭られている一帯が展望台と呼ばれている。 |
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大滝不動尊 |
社の後ろに大滝が見える。紅葉の時期には多くの人で賑わうのだろうが今日は誰も居ない。脇の社務所も固く扉を閉ざしていた。ここから林道を一時間ほど歩き麓に降りた。 |
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ぶどうの丘天空の湯 |
アルカリ性の湯で¥600/人。
見てくれは立派だが、従業員の態度が悪い。ラウンジのメニューが高い。典型的な観光客向けの公共施設。 |
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