せっかくの週末は天気が悪そうだとあきらめていたが、Yahooで調べるとなんと上信越方面の天気予報はど快晴だ。手元には18キップの最後の一枚が残っている。これは行くしかないだろうと、バタバタとパッキングして家を飛び出した。 ムーンライトえちごは薄暮の新潟にたどり着いた。予報通り雲ひとつ無い空に気が逸るが、このまま行っても早朝の日差しでは花もうつむき加減だろうと新潟で時間をつぶし、頃合を見計らって越後線に乗り込んだ。巻が近づくと角田山と樋曽山が見える。なぜか標高の低い樋曽山の方に雪が多く残っているようだ。花の咲く時期も樋曽山の方が若干遅いだろう。 |
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今日から角田山周回バスが運行するが、9時の始発まで待っているわけにも行かない。おのずとタクシーを使うことになるが、運良く女性ハイカー二人連れのタクシーに相乗りをお願いすることが出来た。ラッキーと思ったのもつかの間で、お相手はお袋と同年代の少々太っ腹おばばさま達だった。 「五倫石コースだけど良かったのかい?」と尋ねられたが、さて五ヶ峠コースと灯台コースは調べてきたが知らない地名だ。お二人ともこの山の常連らしくなるほど、マニアックなコース取りだった。着いたところの五倫石登山口にはそれらしき標識も駐車場も無い。別荘分譲地の事務所らしき建物の脇に山道が延びている。おふたりは何度も通っているコースらしくスタスタ先に登っていかれた。このコースは効率よく登り一直線のコースだ。花は殆ど見当たらないが、自然林のなか気持ちの良いコースだ。さっさと登って、他のルートをのんびり下ろうという方に向いている。 |
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背後に樋曽山を見ながら尾根道をたどる。山頂が近づくと道はなだらかになり、やがて山頂広場の一角に飛び出した。広々とした山頂広場には先着の皆さんが思い思いの場所に陣取って休んでいるが、この季節はいたるところ泥濘だらけで腰を下ろせる場所は限られている。眼下には日本海の海岸線が白く延びていた。一角に休憩舎が立っている。しっかりした造りで、10人くらいは泊まれるだろう。中にはストーブもある。 |
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休んでいる方にすれ違うハイカーに夫々のコースで雪割草の様子を伺った。五ヶ峠や灯台コースは、まだまだだが、桜尾根の雪割草は見頃との情報に、ここを降りることにした。山頂を後にすると直ぐに分岐があり、トラロープに導かれるように左の尾根に入ってゆく。すれ違う地元ハイカーの皆さんは長靴履きだ。 カタクリやショウジョウバカマはまだ僅かに咲いているだけだったが、雪割草は健気に咲き出していた。随所に大きな群生地があった。このルート巻支所HPの地図に載っていない穴場コースだが、一見して荒らされているのがわかる。登山道を離れズカズカ雪割草の斜面に入っては写真を撮るのはまだ良い方で、盗掘を自慢げに話している地元ハイカーもいる。 この山域は最近よく雑誌で取り上げられ、かく言う私もその口だが、首都圏からもハイカーが集まってくる。自治体もきちんと対応しないと、せっかくの観光資源も台無しになる。 |
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降りたところは海水浴場だった。駐車場を囲むようにレストランや土産物屋が軒を並べているがこの時期はみな閉まっていた。海の向こうに薄っすらと白い峰が見える。蜃気楼ではない。佐渡だ。 バス停の時刻表を見ると、あと5分早く降りたら周回バスに間に合ったのにと悔しい思いをした。しょうがいと海岸に出てカメラを覗いていると、岬の方から小さなバスが走ってくる。もしやと慌ててバス停の戻ると、やはり10分遅れの周回バスであった。のんびりとしたものである。 運良くバスを拾ったが、今度は巻駅で40分待たなければならない。何も無い駅前でぼんやりしていると、朝タクシーで相乗りさせてもらった2人のおばばさまが戻ってきた。浦浜コースを下ったらしい。カタクリが見事だったそうだ。彼女達は両手一杯に買い物袋をぶら下げていた。ちょうど市が開かれているという。彼女達に勧め進められるままに見物に行くと、どうしてどうしてなかなか盛大なものだった。マイタケとノビルをゲット。チューリップも安かったがこれから各駅停車の長旅を考えると残念ながらあきらめざるを得なかった。 |
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<おまけ> 途中越後平野の向こうに左手に白い峰々が見えた。もしやと思いカシミールで調べてみると飯豊連峰だった。 肉眼では確認できなかったが、わが故郷の磐梯山もかすかに見えるらしい。 |
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