八甲田
2006.6.30

梅雨の時期だけあって、ぐずついた天候が続いている。こんなときは梅雨前線が手薄な北の山々が良かろうと青森までやってきた。初夏の高山植物を狙った山旅である。
2006.6.30
ロープウェイ山頂駅1330−1345遊歩道端−1410最初のピーク1420−1430赤倉岳−1435井戸岳−1450大岳避難小屋1455−1515八甲田大岳1525−1530鏡沼−1555仙人岱1600−1650酸ヶ湯温泉

高山植物





青森駅は学生時代以来の再訪だった。小雪ちらつく中、駅前の津軽弁の飛び交う大衆食堂で、とびっきり旨くて安い「イカ刺し定食」を食べたことを覚えている。本州の最北端の町としてどこか旅情を留めていた。30年経った今、街並みは小奇麗になったが、青函連絡船の玄関口として大きな荷物を持った旅人が行き交う活気あふれる猥雑な街は何処かに行ってしまった様だ。ともあれ、新幹線のおかげで其の日の昼前に青森駅に着けとはすばらしいことだ。
青森駅JRバス乗り場 八甲田ロープウェイ
バスを降りるとロープウェイの係員が13:00丁度の便が出発すると叫んでいた。慌てて改札に駆け込み、滑り込みセーフ。道路工事の影響でバスの到着が少々遅れたらしい。それなら萱ノ茶屋の休憩を少し短くする位の配慮があってもしかるべきだと思うが....。
気になる天気は、今日一杯は大丈夫のようだ。正面にはこれから向かう八甲田連山が姿を見せていた。ゴードラインと呼ばれるひょうたん型の遊歩道の端から登山道が始まる。右に毛無岱のコースを分け、なお前進すると徐々に登りがきつくなる。森林限界を越え、稜線に建てられた指導標が見えてくる頃には汗びっしょりになった。
ゴードライン 稜線到着
山頂駅からノンストップで稜線に立った。ザックを降ろし一服する。行く手を見ると、外輪山の向こうには大岳が見える。しばらくは外輪山の縁を行く。赤倉岳、井戸岳の標識が現れるがいずれも顕著なピークでは無く、遊歩道途中の広場と言ったところだ。ミヤマキンバイやコケモモを撮りながら稜線漫歩が楽しめる。
外輪山と大岳 高田大岳 避難小屋と大岳
大岳手前のコルに建つ避難小屋を目指して道はグングン下ってゆく。周囲はミヤマオダマキの群生地だ。取り立てて珍しい植物では無いが、これだけ密集している山域は他に知らない。
豪雪地帯だけに頑丈な造りになっている。2階建てで少々なら寝具もある。トイレも完備され避難小屋としては上等な部類だ。しかしハエにとっても快適な住処らしくあたりかまわずがブンブン飛び回っているのには閉口した。個人的には泊まりたくない。
避難小屋 内部
さて、ここから山頂を目指そう。冬には樹氷と化すアオモリトドマツの樹林帯を登ってゆく。2箇所の雪田を2通過するころから展望が開けてくる。遅くまで雪が残っているのだろう。他では既に花の終わったチングルマが現れた。山頂はもう直ぐだ。
大岳は標高1584.4m八甲田の中では一番標高が高く、絶好の展望台だ。陸奥湾、岩木山、南八甲田など周囲が一望できるはずだが、今日は薄ぼんやりとして何も見えない。まあこの時期、雨にあたらなかっただけでも良しとしよう。
八甲田大岳山頂 鏡沼と仙人岱
大岳からころがるような急斜面を下ってゆくと大きな雪田が現れた。雪面に一本のロープが延びている。どうやらこれが道標のようだ。これを忠実にトレースして行くと左に回り込み、ヒナザクラが咲く湿原に飛び出した。樹林の向こうに避難小屋の赤い屋根が見える。ここが仙人岱だ。木枠で囲まれた湧き水(八甲田清水)があり水場には事欠かない。この手前に高田大岳方面に伸びる分岐があるはずだが、道標が雪の下になっていたのだろう。確認できなかった。
大きな雪田 仙人岱
ここからは酸ヶ湯温泉まで沢沿いの道を下り一本道だ。しばらくはチングルマが咲く清流の脇を歩く穏やかな道だが、次第に急な下りになる。やがて硫黄臭が漂うガレ場を通過する。無風の時には長居は無用だ。ブナ林を抜けいつしか工事用重機の音が近づいてくると、ひょっこり案内板のある登山口に飛び出した。
地獄湯沢 酸ヶ湯
バスの時刻まで30分ほどある。急いで酸ヶ湯に飛び込んだ。入浴料\600/人也。なんといっても有名な千人風呂に直行だ。「秘湯を守る会」というのはありふれているが、ここ酸ヶ湯では「混浴を守る会」とある。入り口は男女分かれているが中に入れば同じ浴槽という仕掛けだ。2つある浴槽の真ん中に男女の境界線を示す札がある。もっとも日帰り客の時間帯では、女性は誰も入っていなかった。浴槽の男性側にオヤジ連中がひしめき合っている。押されて女性側にはみ出すと何処からとも無く係員がやってきて、混んでいる男性側に戻される。お湯は白濁し少々温め、酸ヶ湯と言うだけあってお湯は酸っぱい。ロッカーの鍵は黒く酸化していた。
館内を探検すると食材や日常雑貨を湯治客に商う売店がある。基本的には3日単位だそうだが、部屋が空いていれば一泊客にも対応するそうだ。


高山植物





JRバス東北
八甲田ロープウェー株式会社
酸ヶ湯
青森市
十和田市