吾妻 谷地平
2005.6.19


高山植物



「あれえ〜泰樹さん日に焼けたんじゃない?」「なんで工場出張で日焼けするかなあ〜。」
かおりちゃんから鋭い突込みが飛ぶ。
今年6月は入梅とは名ばかりの好天が続く。火曜日に角田出張の予定を利用して、年休を取り東北の花の名山、吾妻と蔵王を廻ってきました。

山行記録
2005.6.19
会津若松(実家)8:30−10:30浄土平10:40−11:50姥神石像−12:55谷地平避難小屋−13:10谷地平湿原13:25−13:35谷地平避難小屋−14:40姥神石像14:50−15:10酢ヶ平避難小屋−15:35一切経山15:45−16:30浄土平
ここ浄土平は駐車場を中心にレストハウスやビジターセンタが並んでいる。観光バスでやってきたいわゆる団体さんも多いが、咲き始めた高山植物目当てのハイカーが大勢いた。曇り空だが雨の心配は無さそうだ。
今日目指すのは、中吾妻山麓に広がる盆地状の湿原、ワタスゲで有名な谷地平だ。ここからは小高い姥ヶ原を越え、更に一時間ほど下る。出発10:40と出遅れ感は否めないが、浄土平の木道を歩き始めると、直ぐにイワカガミやツマトリソウ等が現れてなかなか前に進めない。

浄土平
姥ヶ原 姥ヶ原まで標高差200m位だが、階段があったり雪田が残っていたり、その上この暑さに大汗を掻きながら登ってゆく。鎌沼から流れる小沢を渡るとチングルマ揺れる姥ヶ原の一角に出た。今日見た花はいずれも咲き初めと見えて瑞々しい。良い時期に来たとほくそえむが、考えることは皆同じと見えてツアーの団体さんにも出会った。逃げ場の無い木道で、総勢80名の長い長いコンニチワ攻撃にうんざり。
木道を西に進み姥神石像で鎌沼からの道と合流する。この辺りは姥が原の西端に当たり、付近はこの姥神石像とツーショットを撮るオバチャン連中で大賑わいだった。谷地平へはこの先の樹林帯を更に西に進むが、一歩そのコースに入ると今までの賑わいがうそのように静寂になる。
突然、オバチャンの大きなお尻が視界に入った。彼女は慌てて下着をあげ、ムッとした様子で立ち去った。誰も来ないと思ってお花摘みの最中だったのだろうが、びっくりしたのはこちらの方だ。慌てて熊よけの鈴を取り出した。
姥神石像
避難小屋手前の渡渉点 バイカオウレンやショウジョウバカマがひっそりと咲く、薄暗い樹林帯を道はどんどん下ってゆく。ここを帰りにはまた登り返すのかと思うと少々うんざりする。一部雪が残っていて登山道が判りずらかった箇所もあった。後続のスニーカー履きのカップルは賢明にも早々に引き返したようだ。
左手に流れる姥沢を見下ろす崩壊地を過ぎるとピンクのアズマシャクナゲが現れる。枝沢を2本渡り、平坦地に出ると突然眼前が開け姥沢に出る。対岸に延びる登山道の向こうには谷地平避難小屋が見える。どうらやここを渡渉しろというらしい。
谷地平避難小屋 避難小屋内部
小屋の手前では数人の釣り人が岩魚をさばいていた。早朝に浄土平を発って釣りを楽しみ、今晩はここに泊まるという。
私はひたすら歩くだけの山登りだが、釣りや山菜取りの山登りの方がずっと魅力的でうらやましい限りだ。

さて谷地平は何処にあるのだろう。姥沢に併走していた登山道は小屋を過ぎるとまた河原に出た。休んでいた登山者に聞くとまたこの姥沢を渡渉しろと言う。なるほど沢の向こうに道標がある。手頃な飛び石を伝って、対岸に渡ったが、初心者がいるとちょっとやばい。
ようやく周囲をぐるりと山々に囲まれた谷地平に到着した。期待のワタスゲはまだちらほらと姿を見せるだけだったが、この山域は入山者が少ないと見えて、殆ど荒らされていないのが好ましい。


避難小屋後の渡渉点 谷地平木道 池塘
鎌沼 日曜昼下がりの谷地平には他に木道を歩く登山者の姿も無い。人が居れば煩いと思うが、誰も居ないとワタスゲの揺れる湿原に一人取り残されたようで心細い。煙草を一服して、さあ戻ろう。帰りは草花の写真を撮ることも無く、一時間強で姥神石像に戻ってきた。既に日は傾いているが、一切経に登ろうと鎌沼経由のコースを取った。沼岸を辿る木道の一部は雪で覆われ大きく高巻くところもあった。
分岐から酢ガ平避難小屋 避難小屋内部
浄土平へ下るコースを酢ガ平の分岐から北に5分ほど行った一切経の登り口に、酢ガ平避難小屋がある。板敷きの部分は狭いが、マットをコンクリート床に敷けば二十人は楽に泊まることができそうだ。水場は無いが、この時期には近くの雪田を利用することもできる。

予定を変更して一切経山に登ることにした。小学生の頃、浄土平から吾妻小富士へ登った記憶はあるが、一切経山はどうだったか覚えていない。避難小屋から急登を一登し、草木の生えないガレ場を緩やかに登ってゆくとのっぺりした山頂に着いた。この先は下るだけだ。周囲の景色を堪能して浄土平に戻ったのは、16:30。駐車場には数台の車が残っているだけだった。

一切経から西吾妻 五色沼 吾妻小富士


高山植物



福島県道路公社
浄土平ビジターセンター