山形を発った鶴岡行き高速バスは定刻通り9:17に月山口に着いた。先着の数名の登山者はやってきた西川町営バスに乗り月山方面に去って行った。直ぐに鶴岡発山形行き高速バスが到着し3人のおばちゃん登山者が降りた。朝日に行くのかな?それにしてはザックが小さいなと思っていたらどうやら先ほどの月山行きバスに乗り遅れたらしい。時刻表上は高速バスは9:32に着いて、町営バスが9:33だから間に合うはずだが、なぜかこの時期は高速バスの到着が6分遅れると注記にある。時刻表を読み落としたおばちゃんの間抜けな話だが、西川町も僅かに時刻をシフトすれば良いのに気が利かない。この災難がやがてわが身にも罹るとは.....。
こちらが狙っていた9:44の根子行きバスが定刻を過ぎてもこない。もしやと思い役場に電話した。応対した女性事務員も始めは「大丈夫直ぐ行きます」と言っていたが、改めて調べてもらった結果、「今日は第四土曜日だから運休です。」とのこと。確かに時刻表を隅々まで読むと隅のほうにそれらしき注記がある。いくら出張に引っ掛けた山行でも、ここまで来て断念する訳には行かない。慌ててタクシー会社に電話すると、送迎込みで\8700程掛かるという。単独行には痛い出費だ。こちらの雰囲気が伝わったのか、他お客の送迎の帰りに寄ってあげる。それならメーター料金で\5500位で済む。まあ不幸中の幸いというところか。
|
2007.07.28
日暮沢小屋1110-1230水場1240-1355清太岩山-1520竜門山-1530竜門小屋
|
月山口バス停 |
日暮沢小屋
(マウスを置くと内部の写真) |
|
|
当初の予定では根子から林道を歩くつもりだったが、日暮沢小屋までタクシーで入ったので時間ロスは取り戻せた。小屋前の駐車場には十数台の車が停まっていた。早朝にここを発てば日帰りで大朝日岳を一周するコースを取ることが出来る。バスやホテルの費用を思えば、昨夜のうちにここまでレンタカーで入っておく手もあったかもしれない。
どうも雲行きが怪しい。一息入れて直ぐに出発しよう。出だしから快調に飛ばすが先行者の気配はない。やはりみな早朝に行動しているのだろう。この時刻に登っているのはどうやら私一人のようだ。それでも一時間くらい歩くと下山者とすれ違うようになった。皆、雨具を着込んでの完全武装だ。こちらの雨傘にTシャツと短パン姿を気遣ってか、「上では暴風ですよ。」と忠告してくれる。いつもなら余計なお世話と思うところだが、徐々に雨脚も強まってきておりこちらも雨具を取り出した。
|
清太岩山 |
竜門山 |
|
|
樹林帯の急登が続いたが、周囲の木々は低くなり徐々に稜線に近づいてくるのが判る。手前のピークに何度か騙されながら清太岩山にたどり着いたが、風雨が強くなってきて、腰を下ろして休むような気にはなれない。天気が良ければ大朝日が正面に見えるのだろうが今日は黙々と足元だけ見て歩き続けるしかない。
ユウフン山とは「熊の糞山」の意味だそうだ。ここでコースは右手(西方向)にくの字に折れる。視界があればなんの不安もないが、視界10mの今日は慎重に地図で確認する。細い尾根筋をたどり、ゆっくり竜門山の登ってゆく。ふとイワイチョウが目に留まった。このあたりは遅くまで雪が残るのだろうか、こんな山頂近くに湿性植物とは珍しい。ふと見上げると竜門山の道標があった。
|
竜門小屋はここから寒江山方向に下り10分だ。登山道の周囲にはツリガネニンジンやハクサンイチゲが咲き乱れているが、主稜線に出て更に風が強まり、この風では写真を撮る気も起きない。早々に小屋に飛び込んだ。
最近立て直したと見えて、2階建ての小奇麗な小屋だ。内部に水洗トイレを備えており臭く無い。水場は小屋の直ぐ前。小屋番さんに協力金\1500を払い、2階に陣取った。今晩は十数名の宿泊者だったが、スペースで3割位しか埋まっていなかった。一晩中雨は続いていた。 |
竜門小屋
(マウスを置くと内部の写真) |
|
|
2007.07.29
竜門小屋510-525竜門山-615西朝日岳620-730大朝日岳小屋(大朝日岳往復)810-830銀玉水840-940小朝日岳950-1045鳥原山-1150渡渉点1200-1325朝日鉱泉1430
|
風雨の中を一番で小屋を出た。昨日よりは幾分ましだが、視界10mは変わらない。期待してきた大展望は夢のまた夢。
こんな天気なので花の写真も少ないが、ここ朝日連峰では高山性植物の他に稜線近くまで湿性の植物が残っており、規模は小さいが、アオノツガザクラやイワカガミなど多くの種類の花が確認できた。それにしても今日のような雨風をせかせか歩くのはこりごりだ。
|
西朝日岳分岐 |
中岳付近の池塘 |
|
|
|
|
大朝日小屋 |
ガスの向こうに大朝日小屋がぼお~と現れた。外見は竜門小屋と同じくらいの規模と思われるが、メインコースにあるため宿泊客は多かったろう。天候待ちの登山者が多いのか、この時刻でも多くのザックが入り口に転がっていた。
大朝日岳の山頂に行っても何も見えるはずは無いが、せっかくだから足を延ばした。この小屋の裏からハイマツ帯を往復20分位のものだった。
|
|
|
銀玉水付近から小朝日岳 |
小朝日岳から鳥原山方面 |
|
|
大朝日岳を後に小朝日岳を目指す。途中古寺鉱泉から登ってくる登山者とすれ違った。見ると雨具は着けていない。どうやら標高1600m位から上は雲の中にあり、この雲の中で暴風と戦っていたのだが、下界は良い天気のようだ。銀玉水付近で雲が切れ、小朝日岳へと続く縦走路がはっきり見えた。アップダウンがあるが快適な尾根道のようだ。コースタイム上も余裕があるので、この先はのんびり行こうと、銀玉水でしこたま喉をうるおした。
熊越で雨具を脱ぎ、いよいよ小朝日岳の登りにかかる。直ぐに古寺鉱泉への巻き道を左に分け、右に直登するルートを採るが、結構きつい登りだ。今回最後の登りだと自身に言い聞かせてようやくたどり着いた山頂は絶好の展望台だった。もちろん大朝日は雲の中だったが、これから向かう鳥原山が遠くに見える。
それにしても山深いことだ。いまどき、たいていの山頂からは登山口の駐車場やゴルフ場など何らかの人工物が見えるものだが、ここからは山また山しか見えない。
|
鳥原山の高層湿原 |
ここからは長いくだりが待っている。さあ先を急ごう。鳥原山を通過し、いくつか湿原を越え、そろそろ鳥原小屋が見えてくるころと思ったが一向に現れない。ふと聞こうる人の声に、その方向を振り返ると、湿原の一角にある木々の茂った高台に小屋の屋根が見えた。どうやらルートを外れて建っているようだ。
しばらくは急な下りが続くが、標高1000m付近から登山道は緩やかになり、あまり標高を稼いでくれない。それでも沢音が聞こえてくるとジグザグに切られた一気の下り道になる。中ツル尾根コースと合流し、吊橋で対岸に渡り無事ゴールインした。 |
|
朝日鉱泉
(マウスを置くと風呂の写真) |
乗合タクシー |
|
|
|
|
ここから左沢に向かう乗合タクシーは朝日鉱泉の玄関先から出る。さて朝日鉱泉は?と周囲を見るとこの先の高台にある。ゴールインしたと安心しきった身体にはラスト標高差20mが辛い所だ。
中に入ると玄関先に蚊取り線香を炊いている。なるほど、これで薮蚊を撃退するのだろう。さて肝心のお風呂だが、同僚の京谷さんによるとアトピー治療に子連れで訪れたことがあると言う。なるほど、鉄分が多くて効きそうな赤茶けた色の濁ったお湯だ。雨にたたられた山行だったが、最後にゆっくり湯に浸かることが出来た。今度は花の写真を撮るだけに改めて再訪したいものだ。
|
朝日岳 2007.7.28-29
お花畑 |
ズダヤクシュ |
シロバナクモマニガナ |
|
|
ツマトリソウ |
マイヅルソウ |
|
|
イワイチョウ |
ハクサンイチゲ |
|
|
エゾシオガマ |
ウラジロヨウラク |
|
|
コバイケイソウ |
ウサギギク |
|
|
アオノツガザクラ |
イワカガミ |
|
|
ミヤマコゴメグサ |
ヨツバシオガマ |
|
|
ミヤマハハコグサ |
オトギリソウ |
|
|
ウスユキソウ |
ハクサンフウロ |
|
|
キンコウカ |
コキンレイカ |
|
|
ミヤマキンポウゲ |
ミヤマキンバイ |
|
|
オオバギボウシ |
カラマツソウ |
|
|
アカモノ |
ソバナ |
|
|